AIエージェントの「調べる」を分解する。DeepSeekの検索APIが示す次の競争
AIエージェントに「最新情報を調べて」と頼むとき、答えの質を左右するのはモデルの頭脳だけではない。どのページを見つけ、本文をどう取り込み、出典を確かめるか。DeepSeekが公開したSearchとFetchのAPIは、その地味だが重要な部分を開発者が組み込める形にした。
Searchは検索語からWebページの一覧を返し、Fetchは指定した1ページの内容をMarkdownで返す。両方ともモデルとの会話APIとは別の、JSON形式の道具だ。Hacker Newsでもこの公開が議論を集めた。注目すべきは「AIがWebを読める」という目新しさより、検索と本文取得の費用、失敗、検証をアプリ側で扱いやすくしたことだ。
1回の調査を二つの工程に分ける
たとえば海外の新しい研究を調べるエージェントなら、まずSearchで候補を探し、関連するページだけをFetchで読む。その後にモデルが要点をまとめる。検索結果の短い説明だけで結論を出すより、元ページまでたどれる設計にしやすい。
公式ガイドによると、Searchは検索語のほか、返す件数や言語、サイト、公開日の条件を指定できる。Fetchは1回につき1つのURLを受け取り、タイトルと本文を返す。ただし、対象サイトの公開状況やアクセス方針によって取得できないことがある。「検索で見つかった」ことと「本文を読めた」ことは別だ。
安さを語る前に、呼び出し回数を見る
2026年10月19日時点の公式表示価格は、SearchとFetchのそれぞれが成功した1,000リクエスト当たり0.75米ドル。結果が空の検索や、取得に失敗した呼び出しは課金対象外と説明されている。これは検索・取得APIの料金であり、要約や判断に使うモデルのトークン費用を含まない。
エージェントが一つの質問に対して何度検索し、何ページを読むかによって総額は変わる。単価だけを比較して「調査が安い」と決めるのは早い。両APIにはアカウント単位でそれぞれ毎秒5リクエストの上限があり、Fetchには取得先ドメインごとの制限もある。大量のページを同時に巡回する用途では、速度と失敗時の扱いも設計が必要になる。
日本語の実務で試したいこと
日本のチームが海外の技術動向を追うなら、検索語を英語だけに固定せず、日本語での関連資料も探したい。候補のURL、取得日時、引用箇所を残し、モデルには「読めなかったページを読んだように書かない」条件を与える。重要な判断では、一次資料へのリンクを人が開いて確かめる手順も欠かせない。
SearchとFetchは、正確な答えを自動で保証する仕組みではない。検索順位には偏りがあり、ページ本文には古い情報や誤り、エージェントを誘導する文も混ざり得る。それでも、検索、取得、生成を分けて記録できれば、間違いがどこで生じたかを追いやすくなる。AIエージェントの競争は、モデルの性能だけでなく、外の世界をどう読ませ、どう検証するかへ広がっている。
出典:DeepSeek公式「Search & Fetch」、DeepSeek公式「Models & Pricing」、Hacker Newsでの議論。料金と仕様は2026年10月19日時点の公開情報に基づく。