AIエージェントは手元の端末へ。Liquid AI新モデルが示す「ローカル実行」の条件

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AIエージェントは手元の端末へ。Liquid AI新モデルが示す「ローカル実行」の条件

朝の予定を整理し、必要なファイルを探し、確認を求めてから操作する。そんなAIエージェントを自分のパソコンで動かす選択肢が広がっている。米Liquid AIが10月13日に公開した「LFM2.5-24B-A2B」は、端末内での高速な動作とツール操作を重視したモデルだ。海外の開発者コミュニティでも注目を集めた。

この発表の焦点は、単に「小さなAI」が増えたことではない。仕事を任せるAIの実行場所をクラウドから手元の端末へ移せるなら、応答の速さやデータの扱い方を設計し直せる。ただし、端末でモデルを動かすだけで仕事の全工程が非公開になるわけではない。

240億の「総量」と、約20億の「稼働量」

LFM2.5-24B-A2Bは、総パラメーター数が約240億のMoE(専門家混合)モデル。回答の各段階で使うのはその一部で、開発元は約20億を稼働させると説明する。この構成により、モデルの総量を保ちながら、推論時の計算を抑える狙いだ。文章を読むだけでなく、必要なツールを選び、結果を受け取って次の手順を考える用途に向けて訓練された。

Liquid AIの測定では、Apple M5 Max上で毎秒184トークンの出力速度を記録した。ツール利用などの評価でも、比較対象の一部を上回る結果を示している。一方、WebArena VerifiedやSWE-bench Verifiedなどでは比較対象が優勢な項目もある。速度と一部の評価結果は、特定の端末・設定・課題における開発元の報告であり、どの日本語業務でも同じ性能が出るという意味ではない。

「ローカル」でも、接続先は別に確認する

モデル本体はHugging Faceで公開され、llama.cpp向けのGGUFやApple Silicon向けのMLX版も用意された。Liquid AIは、ノートPC上でエージェントが計画し、ツールを呼び出すデモを紹介している。モデルへの問い合わせを外部APIへ送らずに済むのは、機密文書や個人情報を扱う場面で魅力的だ。

ただし、エージェントがウェブ検索や外部サービスのAPIを使えば、その通信は端末の外へ出る。連携アプリがクラウドにファイルを同期することもある。「モデルの推論がローカル」と「ワークフロー全体がローカル」は分けて考えたい。導入時には、モデルの接続先だけでなく、許可したツール、送信されるデータ、操作履歴を確かめる必要がある。

さらに、公開されているのはモデルの重みで、利用条件にも注意が要る。Liquid AIのLFMライセンスは商用利用を認める一方、年間売上高が1,000万米ドル以上の事業体には無料の商用利用を認めていない。企業利用を検討するなら、性能試験と同じ段階でライセンスも確認したい。

日本語の実務で問われること

モデルカードには日本語対応が記されている。しかし、国内の帳票、社内用語、敬語の指示、複雑な承認フローでどこまで正確に動くかは、実際の業務で測らなければ分からない。試すなら、短いタスクから始め、誤ったファイル操作を止められる権限設定、人による確認、再実行できる記録を組み合わせるのが現実的だ。

Liquid AI自身も、知識量が多く求められる作業では検索や情報取得との組み合わせを勧めている。端末内で完結する範囲と、外部情報が必要な範囲を切り分けることが、プライバシーと実用性の両立につながる。

AIエージェントの競争軸は、モデル単体の賢さに加え、どこで動き、何にアクセスし、誰が操作を承認するかへ広がっている。今回のモデルは、手元の端末をその設計の中心に据える動きを、より具体的にした。


出典:Liquid AIの発表、モデルカード、LFMライセンス、Hacker Newsでの議論。内容は2026年10月16日時点の公開情報に基づく。